自分でWordPressホームページ作成に挑む前に知っておきたいこと――SEO・デザイン・導線、三つの落とし穴


五月の連休明け、珈琲の香りがまだ漂うオフィスの朝に、あるひとつの問いを立ててみる。「自分でホームページを作ったら、どうなるだろう?」
WordPressは、Webに関する専門知識がなくても比較的始めやすく、直感的な操作でブログやホームページを作れる便利なツールだ。それは本当のことで、嘘ではない。しかし、「作れる」と「伝わるサイトになる」の間には、静かに、しかし確実に、深い川が流れている。
—
個人事業主として独立して三年目の春、筆者はWordPressで自分のホームページ作成に挑戦した。深夜二時、モニターの青白い光だけを頼りに管理画面を開き、テーマを選び、色を変え、文字を打ち込んだ。完成した瞬間は達成感があった。しかし翌朝、スマートフォンで確認すると、文字が画面からはみ出し、ボタンはどこにあるかわからず、問い合わせフォームに至っては影も形もなかった。
—
SEOの課題
WordPressは世界中で支持されており、WEB技術の調査機関「W3Techs.com」の2026年時点のデータによると、世界中でCMSを利用して作られているサイトのうち、実に6割以上がWordPressを選択している。つまり、競合も同じ土台で戦っている。テーマを入れただけでは、検索エンジンに「存在する」とは認識されても、「選ばれる」には至らない。
SEO対策に強いテーマを選んだとしても、要(かなめ)は自社のコンテンツであることを理解しなければならない。タイトルタグ、メタディスクリプション、内部リンクの設計、ページの読み込み速度。これらは、WordPressで自分でホームページ作成をするとき、見落とされやすい要素だ。
—
表示速度の問題
画像を最適化せずにアップロードし、プラグインを十数個インストールし、レンタルサーバーの最安プランを選ぶ。この三点セットで、サイトの表示速度は驚くほど遅くなる。訪問者はページが開くまでの三秒を待たない、という調査結果は有名だが、実感として理解できる人は少ない。
管理画面がやや堅く見えて、初めて触る方には難しく感じられることや、エディターがクラシック・ブロックと2種類あって覚えるのが負担になるということがあり、残念ながらすぐにあきらめてサイト更新が途絶えることも多い。
—
デザインと導線の課題
2026年のトレンドでは、オーガニックな質感や手作業の温もりを活かし、個性を際立たせるデザインが求められている。木目や石材のテクスチャ、オーガニックなカラーパレット、筆記体フォントなどを使用し、デジタルながらも温かみのあるデザインの人気が高まっている。
しかしデザインの流行を追うだけでは不十分だ。「見た目がきれい」と「使いやすい」は、まったく別の話である。問い合わせボタンがどこにあるかわからなければ、訪問者はそのまま帰ってしまう。
スマホ対応していないテーマは、パソコンのデザインで表示されるため、文字が小さかったり、タップしづらかったりする。ユーザーの視線がどこを向き、どこで迷い、どこで離脱するか。そのシナリオを描けるかどうかが、プロと素人の分かれ目になる。
—
テーマと呼ばれるテンプレートを使えば、デザインやレイアウトを大きく変えられる。最初はブログとして始めて、後からホームページのように整えていけるため、目的に合わせて柔軟にサイトを作りやすいのも特徴だ。
だからこそ、WordPressは魅力的に映る。自由度が高く、拡張性があり、費用も抑えられる。しかし、その自由度の高さは、裏を返せば「正解がない」ということでもある。どのテーマを選ぶか、どのプラグインを組み合わせるか、どんな構成でページを作るか。そのひとつひとつの判断が、SEOの評価にも、ユーザーの体験にも、じわじわと影響を与えていく。
—
自分でWordPressホームページ作成に挑むこと自体は、悪いことではない。むしろ、自社のビジネスを誰より深く理解している経営者が、サイトの方向性に関わることは大切だ。
ただ、SEO設計、表示速度の最適化、ユーザーにとって迷わない導線の設計、この三つを同時に高いレベルで実現するには、やはり積み重ねた経験と知識が要る。五月の朝、珈琲カップを両手で包みながら、そのことを静かに考えてみてほしい。
組織名:つながる.デザイン / 役職名:代表 / 執筆者名:住江義徳
