WordPressで自分のホームページを作る前に知っておきたいこと——プロが教える3つの落とし穴

ある春の夜、知人の小さな雑貨店のオーナーから連絡が来た。「ワードプレスで自分のホームページ作ってみたんだけど、なんか変で……」。送られてきたURLを開くと、スマートフォンの画面いっぱいに崩れたレイアウトが広がっていた。メニューボタンは画像の裏に隠れ、問い合わせフォームは白い背景に白い文字で表示されていた。本人は気づいていなかったらしく、「デザイン、なかなかいい感じじゃない?」と自信満々だったのが、少しだけ微笑ましかった。
WordPressで自分のホームページを作ることは、今や決して珍しくない。無料テーマも豊富で、直感的な操作で見た目を整えることができる。個人事業主や小規模な会社の代表者が「まずは自分でやってみよう」と思うのは、ごく自然な流れだ。しかし、作ること自体と、「機能するホームページを作ること」の間には、思いのほか大きな距離がある。
まず最初に引っかかるのが、SEOの問題だ。WordPressはSEOに強いと言われるが、それは正しく設定されていればの話である。インストール直後の状態では、検索エンジンにページが認識されない設定になっていることもある。パーマリンク(URLの構造)が日本語のままになっていたり、メタディスクリプションが全ページ同一になっていたり。「Rank Math」や「All in One SEO」といったプラグインを入れれば解決するかというと、設定を誤れば逆効果になることもある。検索上位に表示されるためには、キーワードの選定から内部リンクの設計、ページタイトルの書き方まで、細部の積み重ねが必要だ。
次に、表示速度の問題がある。これは見落とされがちだが、非常に重要な要素だ。画像を最適化せずにそのままアップロードしたり、不要なプラグインを大量に入れたりすると、ページの読み込みに3秒以上かかることがある。Googleの調査によれば、表示に3秒以上かかるとモバイルユーザーの半数以上が離脱するという。せっかく検索から訪れてくれたユーザーが、ページが開く前に去っていく。それは非常にもったいない。
画像の圧縮、キャッシュプラグインの設定、使用テーマの軽量化——これらはどれも「知っていれば対処できる」ことではあるが、知識なしに一から判断するのは難しい。たとえば「Velostra」という架空のテーマブランドを例に挙げると、見た目が美しくても内部のコードが重く、表示速度を著しく低下させるケースがある。デザインと速度は、トレードオフになりやすい。
そしてもうひとつ、ユーザーにとっての「導線」の問題がある。訪問者がホームページを訪れたとき、何をしてほしいのか。問い合わせをしてほしいのか、商品を購入してほしいのか、予約をしてほしいのか。その行動を促すための導線が、デザインの中に自然に組み込まれていなければならない。
よくあるのが、トップページに情報を詰め込みすぎて、どこを見ればいいかわからない状態だ。スクロールしても、スクロールしても、テキストと画像が続くだけで、問い合わせボタンが見当たらない。あるいは、ボタンはあるのに背景と同化していて気づかれない。こうした問題は、作った本人には見えにくい。自分で作ったページは、どうしても「見慣れた目」で見てしまうからだ。
子どもの頃、自分で書いた作文を読み返しても誤字に気づかなかった経験はないだろうか。あれと同じことが、ホームページでも起きている。第三者の目で見て初めてわかる問題が、必ずある。
WordPressで自分のホームページを作ることは可能だ。しかしSEO、表示速度、ユーザーの導線——この三つを同時に、正しく、機能するレベルで整えるには、相応の時間と知識が必要になる。ビジネスの本業を抱えながら、それを独学で習得するコストを考えたとき、プロに依頼するという選択肢は決して遠回りではない。むしろ、最初から正しく作られたホームページが、長期的に集客と信頼を支えてくれる。
自分でやってみることで気づくことも多い。でも、気づいたときには時間もお金もかかっていた——そんな後悔をしないために、一度立ち止まって考えてみてほしい。
組織名:つながる.デザイン / 役職名:代表 / 執筆者名:住江義徳
